JP_011_GrabCAD Print: 「マットかグロス?」3D造形でどのような場合にどちらの仕上げを使用すればよいのか

マット(艶消し)にするか、それともグロッシー(光沢)にするか、それが今回のテーマです。
PolyJetプリンタをお使いの皆さんは、部品をマット仕上げにすべきか、グロッシー仕上げにすべきかで悩むことがよくあります。
皆さんが頭を悩ませるのも無理ありません。それ以外の点はまったく同じの2個の部品でも、仕上げのタイプが異なると、見た目、感触、色、そして強度や耐久性までもががらりと変わってしまう可能性があるのです。どちらの仕上げにもそれぞれ、考慮すべき独自のメリットと影響があります。
このチュートリアルでは、マット仕上げとグロッシー仕上げの概要を説明し、それぞれの長所と短所を比較し、それぞれのタイプがどのような仕上がりにつながるのかを明確に示す例を紹介します。そして最後に、どのような場合にどちらの仕上げを使用すればよいのかを簡単に分類してまとめとします。

  1. Step 1: マットとグロッシーとは

    マット(艶消し)とグロッシー(光沢)は、GrabCAD Printの仕上げに関する2つのオプションです。

    マットもグロッシーも同じ材料で造形されます。違いはグロッシー仕上げの場合、硬化中にモデルが空気にさらされる点です。一方マット仕上げの場合、硬化する間モデルはサポート材で覆われています。

  2. Step 2: マット仕上げ

    マット仕上げは無反射で、やや粗い手触りです。

    サポート材を取り除く前(左)とサポート材を取り除いた後(右)のマット仕上げ部品の比較。

  3. Step 3: グロッシー仕上げ

    グロッシー仕上げは光沢があり、なめらかです。

    サポート材を取り除く前(左)とサポート材を取り除いた後(右)のグロッシー仕上げ部品の比較。この部品の下の部分はサポート材を必要とするため、グロッシー仕上げで造形することができません。詳しくは以下で説明します。

  4. Step 4: サポート材

    全体にサポート材を使用できるのはマット仕上げのみです。

    角度が90°に満たない(負角ともいう)部位をもつ部品はすべてサポート材で覆われるため、仕上げはマットになります。1°以上のオーバーハングをもつ部位はすべてサポート材が必要となるため、この場合もマット仕上げで造形されます。

    全体がサポート材で覆われた部品を造形する必要がある場合、部品全体をマット仕上げにする必要があります。

  5. Step 5: 均一な仕上がり

    サポート材に関する上記の注意点から、全体がグロッシー仕上げの部品というものは存在しません。グロッシー仕上げのモデルには、一部マット仕上げの部分が含まれるのに加え、グロッシーとマットが切り替わる部分には目に見える線が現れます。

    負角やオーバーハングがない部品であっても、トレイと接する部品の底の部分にはマットな層ができます。必要に応じてマット仕上げをより光沢ある仕上がりに加工することはできますが、是が非でも均一な仕上がりが求められる部品であれば、マット仕上げで造形します。

    また、モデルを別々のシェルに分割し、マット仕上げの表面を最小限に抑える向きで造形トレイに配置してみることもできます。造形が終わったら、複数のシェルを組み立てて1個の部品することができます。

    例1:グロッシー仕上げが必要な部品はトレイ上で上向きに配置する

    例2:マットな表面がまったくない組み立て後のモデル



  6. Step 6: シャープなエッジ

    マット仕上げはエッジや角をシャープに仕上げるのに最適です。グロッシー仕上げの部品は、サポート材を使用しないため、造形プロセス中にエッジが丸くなります。つまり、表面がなめらかで、ガラスのような美しい仕上がりを求めるならグロッシー仕上げを、一方シャープで、統一感のある角やエッジが必要ならマット仕上げを使用します。

  7. Step 7: ディテールと繊細な部位

    上記のポイントの延長として、繊細なディテールやきわめて細かなサイズ要件がある場合には、マット仕上げがより適しています。

  8. Step 8: 強度

    グロッシー仕上げで造形すると、部品の全体的な強度が上がります。

  9. Step 9: コストと時間の削減

    グロッシーはより短時間かつより少ない材料で造形できるため、その他の要因によってそれほど違いが生じない場合には、最適な選択肢となります。

  10. Step 10: 例① - 突き出したピン

    通常、ピンは細く、なめらかな表面が求められます。グロッシー仕上げで造形したピンは、マット仕上げで造形したピンより強度が高くなります。これは、表面がよりなめらかなため、応力集中部が少ないからです。また、サポート材を取り除く際の高圧水の噴射によって細かいピンが折れて取れてしまう可能性がありますが、サポート材の除去はほとんど必要ありません。

    こちらは同じ形状をマット仕上げで造形したものです。角がよりシャープで、形状がより正確なのがわかると思います。しかし、外壁はサポート材との接点であることから、より粗くなっています。また、側面にいくつもの微小な欠陥も見られます。表面の粗さにより、より正確で均一な表面が実現されるかもしれませんが、応力集中部となって部品の特定の部分に応力を集中させてしまう可能性のある微小な欠陥のある、粗い仕上がりとなります。これにより部品の強度が損なわれ、破損の危険性が増します。

  11. Step 11: 例② - 穴あき部品

    こちらはマット仕上げ(左)とグロッシー仕上げ(右)で造形した穴あき部品です。

    左側の部品の方が表面はより均一です。右側のグロッシー仕上げで造形した部品は、サポート材を使用する必要があったため、表面が不均一になっています。

    したがって、開口部のある部品で均一さが求められる場合には、おそらくマット仕上げを使うとよいでしょう。

  12. Step 12: まとめ

    結局どちらの仕上げを使えばいいのでしょうか?ここまでに紹介した各オプションに関する情報に基づいて、ケースバイケースでそれぞれの仕上げを選んだ場合の結果を比較検討する必要があります。とはいえ、参考にできる基本的な枠組みはありますので、下記に挙げておきます。

    参考になれば幸いです。こちらのチュートリアルでは手作業による艶出しについて詳しく紹介しています。また材料についての詳細は、ストラタシスサポートセンターをご覧ください。

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