JP_016_GrabCAD Print: KeyShotとGrabCAD Printで作業するためのベストプラクティス

Luxion社の3DレンダリングソフトウェアKeyShotがGrabCAD Printとシームレスに統合され、3MFファイルをスムーズにすばやくエクスポートできるようになりました。この新しいワークフローにより、デザイナーは(色とテクスチャの情報を保持した)3MFファイルを、KeyShotからGrabCAD Printに簡単にエクスポートできます。
このチュートリアルでは、KeyShotとGrabCAD Printを利用するにあたってのベストプラクティスを取り上げます。

  1. Step 1: ラベルを使用する

    材料特性の中には、他の材料特性に比べてKeyShotからGrabCAD Printへのエクスポートに、より適したものがあります。たとえば、つぎの材料特性は、ストラタシスの3DプリンタJ55で造形する際に美しい仕上がりになります:

    • ペイント
    • プラスチック
    • テクスチャ
    • メタル
    • 透明
    • ラベル
    • グラデーション
    • 変形マッピング
    • バンプ
    • 木材
    • 織物生地


    一方、つぎの材料特性を使った造形では、予測どおりに造形されない可能性があるため、使用は推奨されません。


    • ファジー(造形時および後処理時に壊れやすい)
    • サブサーフェス
    • 反射(充填する材料と後処理に大きく左右される)
    • ライト(レンダリング時のみの問題)
    • リアルマテリアル(充填する材料により異なる。最も近いものは、デジタルマテリアルを使った造形)
    • ソフト(GrabCAD Printでショア値をどうカスタマイズするかに大きく左右される)
    • X線(実際にMRIやCTスキャンが必要)
    • 断面カット(ファイルをSOLIDWORKSに取り込んでから分割することは可能)




  2. Step 2: ラベルを使用する

    ラベルの使い方のチュートリアルでは、KeyShotでいかに簡単にラベルをつけられるかをご覧いただけます。しかし、ここで犯してしまう可能性のある最も大きなミスが、[Projecting labels(ラベルの投影)]の設定をデフォルトのままにすることです。

    デフォルト設定でラベルを投影すると、モデルのレンダリングに問題はありませんが、背面に左右反転したラベルが入ります(このラベルは2Dレンダリングでは見えません)。

    3Dプリンティングでは、モデルを実際に手に取ってみて初めてデザインのあらゆる面が見えるようになります。下の画像をご覧ください。


    これを避けるには、つぎの2つの方法のいずれかをお試しください。

    • オプション1:[Two Sided(両面)]のチェックを外し、[Depth(奥行)]パラメータを使用する(デフォルトの平面投影を使用する場合)
    • オプション2:ラベルの面を分割し(Keyshotまたはモデリングソフトウェアのいずれかを使用)、該当する面のみにラベルをつける


    さらに、ラベルの解像度が低いと3D造形した際の見た目が変わってしまう可能性があるため、高い解像度のラベルを使用することを推奨します。下の画像をご覧ください。


    その他ラベルの使用に関するヒント:

    • 解像度が300dpi以上のラベルとテクスチャを使用し、エクスポートする前に、ズームで拡大してはっきり見えることを確認します。エクスポートは、> 600dpiで行ってください。
    • また、忘れずに背景色を設定してください。設定しないと、透明なグラフィックスの周りに白い輝きが出ません。
    • ラベル部分にサーフェスを追加しないでください。ラベルを直接配置するだけにします。
  3. Step 3: バンプマップを使用する

    GrabCAD Printにバンプマップを読み込むと、造形時にサーフェスが変形マッピングされます。視覚化されるのはバンプマップのみで、重なり合う部分があっても表示されません。

    これを防ぐには:変形マッピングを行うのに十分な許容誤差を設けます。許容誤差は、必ず変形高さより大きい値にする必要があります。

    (現在GrabCAD Printにバンプマップの読み取り機能は含まれていませんが、今後のバージョンにて追加予定です。)

    



  4. Step 4: 薄いボディを使用する

    隣接するボディの厚みが2mmに満たず、それぞれ色が異なる場合、正確な色で造形されません。これは、鮮やかで正確な色を出すには、1mmの厚みとその内側に白色のコアが必要となるためであり、複数の薄い色の層を重ね合わせることにより色味が悪くなります。

    ヒント:厚みが2mmに満たないシェルが隣接していて、その色が異なる場合、KeyShotに読み込む前にこれらのシェルを結合して1つのシェルにします。それからサーフェスの各面をペイントします。

  5. Step 5: 期待される「滑らかさ」を実現する

    KeyShotで適用されるスムージングシェーダーでは、実際にモデルのテッセレーションやポリゴンの追加は行われません。モデルのサイズに対して、モデルに含まれるポリゴンの数が十分でないと、実際に造形したときの解像度が低くなる可能性があります。

    ヒント:モデルが造形に十分な解像度となっていることを確認します。


    • GrabCAD Printに読み込んで、スムージングを行っていない実際のトライアングルビューを見て確認してください。
    •  PolyJetを使った造形のベストプラクティスを活用します。
    • KeyShotマテリアルに関するヒントをご覧ください。



  6. Step 6: GrabCAD Printで透明度を使用する

    GrabCAD Printで透明度を使用する場合、材料のコアに[Same Material(同じ材料)]を指定します。色の詳細設定で[Same Material(同じ材料)]を選ぶことで、コアカラーと透明部にコーティングと同じカラーが使用されます。これにより、よりリアルなソリッドガラスまたはプラスチックの外観が再現されます。

    部品の厚みが大きいほど、カラーはより濃く、鮮やかになります。

    その他のヒント:ガラス/ソリッドガラス/ジェム/液体/誘電体を#FFFFFFカラーに設定してエクスポートすると、完全に透明な部品になります。

    つぎの材料タイプは現時点でGrabCAD Printでは非対応であり、期待どおりに造形されない可能性があるため、使用は避けてください。

    • 半透明の媒体
    • スキャッターリングマテリアル
    • ディフューズ/スペキュラー/プラスチック(透明)の透明度


  7. Step 7: 適切な単位、寸法、dpiを使用する

    同じ400dpiでも、1辺が10mmの立方体の場合と1辺が10mの立方体の場合では、ファイルのサイズとエクスポートにかかる時間に大きな違いがあります。KeyShotに取り込むファイルタイプの中には、単位が含まれないものもあり、誤ったサイズでエクスポートしたためにエクスポートに時間がかかる場合や、場合によってはKeyShotがクラッシュする可能性もあります。

    ヒント:モデリングソフトウェアからのエクスポート、KeyShotへのインポート、そしてKeyShotからのエクスポートに際して、単位が正しく設定されていることを確認します。

     

    GrabCAD Printを利用するにあたってのその他のヒント:

    • 400~600dpi(つねにプリンタの解像度を超えるdpiが望ましい)。ユーザーが変更していなければ、現時点でデフォルトは400dpiに設定されています。
    • デフォルトのサンプル数(16)を守ってください。
    • KeyShotの[Prefer Textures(テクスチャを優先)]にチェックを入れます。現在、デフォルトではチェックされていません。[Geometry Nodes(ジオメトリノード)]を選択すると、変形マッピングがテッセレーションされたポリゴンとしてエクスポートされるため、エクスポートにかかる時間が長く、ファイルサイズも大きくなります。必要な場合にのみ使用するようにしてください。今後のGrabCAD Printのバージョンアップでバンプマップから変形マッピングが行えるようになる見込みのため、短時間でエクスポートできるのに加えて、表面仕上げもできるようになります。
    • 最後の[Use Calculated Depth(算出した奥行を使用)]のチェックボックスのチェックを外します。チェックが入っていると、透明な部品に各ポリゴンの厚みに応じた色が適用されます。コアが透明な場合は、厚みに応じた透明度が模擬的に再現されます。

     

    GrabCAD Printでは来年からコアは透明ではなく同じ材料に設定されるため、模擬的な再現の必要性がなくなり、レンダリングと同様に、厚みによって実際に外観が変わります。これがなくなることで、エクスポートにかかる時間が大きく短縮されます。

  8. Step 8: まとめ

    今回のKeyShotとGrabCAD Printの統合により、デザイナーはより短時間で部品を造形へと進めることができるようになります。つぎのヒントを忘れずに実践すれば、期待どおりに造形できるしょう。


    1.   ラベルは表示する面にのみ投影します(分割、片面)。実際の3Dモデルには背面もあることを忘れないようにしましょう。

    2.   プロシージャルテクスチャか高解像度テクスチャを使用します。 

    3.   変形マッピングによってモデルが物理的に変化することを忘れないようにしましょう。

    4.   ラベル用にサーフェスを追加しないでください。ラベルを直接配置するだけにします。

    5.   薄いボディはマージ(結合追加)して、変色しないようにする。

    6.   ローポリモデルはKeyShotのレンダリングでは滑らかに見えるかもしれませんが、実際に造形すると粗くなります。

    7.   造形する前に自動修正を行ってください。モデルには反転したポリゴンや閉じていない面が含まれる場合があります。GrabCAD PrintのAuto Fix(自動修正)機能を使うことで、最適な造形を行うことができます。

    8.   透明度を使って「ガラス(ソリッド)」や類似の材料を模擬的に再現する場合は、材料のコアに[Same Material(同じ材料)]を指定します。

    9.   適切な単位と寸法を使用するようにしてください。モデルのサイズが大きすぎると、ベイク処理に非常に時間がかかる可能性があります。

    10. 完全に透明な部品を造形する場合、最適な材料は色が#ffffffの「ガラス」です。

     

    KeyShotの利用に関するその他のヒントは、KeyShotのチュートリアルをご覧ください

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